これはフィクションです。

太平洋にある島国のP国がある。そこには王がおり、議会制民主主義を採用している。国会での最大勢力は民自党。これに公平党が連立内閣を形成している。野党は民社党を中心としたものだが、非力である。一度、この民社党を中心に内閣が組まれたことがあった。しかしその政権時代に非常に大きな、それこそ経験したこともないような天災が起き、その時の対応を国民から批判され、民自党に政権を奪われてしまった。ただ、天災での対応で問題になったのは、国家的企業の大施設での問題であったが、その問題の根本を作ったのは過去の民自党政権、そのまま放置したのは民自党政権であったが、その事実をこの国民は認識せず、その時の政権批判に始終した。

さてその後の民自党政権で力を有したのは青木氏である。彼は民自党内で最大派閥を形成し、10年近くの間、そのトップの総裁に君臨した。同時に首相も務めた。反対勢力の野党勢力が完全に退化したこともあり、青木政権は”やりたい放題”。政策は基本、バラマキ等の選挙目当てのものばかり。裏では私腹を肥やすことを続けていた。結果、P国は産業や社会保障面で他国に対して大きく立ち遅れてしまった。でもその場が心地いいことを優先するP国民は、民自党の政権を変えることはなかった。

それから数年後、すでに青木氏は首相を退いてはいたが、相変わらず最大派閥を有し絶大な権力を有していた。そしてこの民自党の政権が続く中、選挙となった。その選挙活動の終盤、なんと青木氏が応援演説中に刺されて死亡するという事件が発生した。

当然SPもついていたが、何故か犯人に刺殺を許してしまうという大失態。SNSにはすぐにその様子が投稿され、国中が評論家と化した。SPへの非難も当然あったが、基本は青木氏の神格化であった。民自党は木村首相を中心にこの青木氏の死亡を選挙に利用、大勝を果たした。この国の国民は死者を美学する傾向が極めて強い。そこをうまく選挙に利用した快勝であった。

しかし事実は違った。民自党内には実は”神7”という闇の委員会があった、そのメンバには民自党の重鎮が名を連ね、青木氏もそのひとりであった。神7委員会で青木氏と対峙していたのが赤木氏である。彼は幹事長等の要職を歴任し、裏ボス的存在。赤木氏は青木氏を過去から邪魔に思っていた。そこで元軍人を利用し、青木氏を暗殺したのであった。もちろんSPにも手を回し、前日に青木氏の応援演説場所を変更し警備を手薄にするという小細工まで行っていた。結果として邪魔な青木氏を排除、その青木氏を英雄にすべくメディアに手を回し、選挙で大勝を得たのであった。

P国民は、このことを知らない。民自党の世論の操作も功を奏し、結局、青木氏は国葬とされた。